美容医療は、この10年で大きく進歩しました。
シワを浅くする。
たるみを改善する。
ボリュームを補う。
肌質を整える。
選択できる治療は増え、以前より自然な仕上がりも実現できるようになっています。
しかし一方で、近年の皮膚科学では、こうした「見えている変化」だけを追いかけることには限界があるという考え方も広がっています。
その背景にあるのが、Skin Longevity(スキンロンジェビティ) という概念です。
これは、肌を若く見せる技術ではありません。
肌そのものが持つ修復能力や恒常性を維持し、年齢とともに起こる変化を穏やかにするという考え方です。
美容医療の目的が、「変化をつくること」から「変化しにくい肌を育てること」へ移り始めています。
老化は「足りないもの」を補うだけでは止められない
エイジングケアでは、
「コラーゲンを増やす」
という言葉が長く中心にありました。
実際、多くのレーザーやRF、高密度焦点式超音波などは、コラーゲン産生を促すことで効果を発揮します。
もちろん、この考え方は現在でも重要です。
ただし、近年では別の視点も加わっています。
コラーゲンが減ること自体が老化なのではなく、「なぜコラーゲンを作れなくなったのか」という原因を考える必要があるということです。
細胞の働きが低下し、炎症が続き、組織同士の連携が乱れる。
その結果として、肌の弾力や厚みが失われていきます。
つまり、本当に守るべきなのはコラーゲンそのものではなく、コラーゲンを生み出せる環境です。
「肌」は皮膚だけではない
皮膚は、表皮と真皮だけでできているわけではありません。
最近の研究では、そのさらに下に存在するdWAT(真皮脂肪組織)が、肌の健康維持に重要な役割を果たしていることが分かってきました。
dWATは、
- 線維芽細胞との情報伝達
- 免疫機能の維持
- 創傷治癒
- 炎症反応の調整
など、多くの機能に関与しています。
以前は「脂肪は減らすもの」というイメージが強くありましたが、現在では皮膚を支える重要な組織の一つとして研究が進んでいます。
肌を考えるうえでは、表面だけではなく、その下にある環境まで視野を広げる必要があります。
肌は細胞同士のコミュニケーションで成り立っている
皮膚は、一つの細胞だけで機能しているわけではありません。
線維芽細胞、角化細胞、免疫細胞、脂肪細胞などが、お互いにシグナルを送り合いながらバランスを保っています。
そのネットワークが正常に働くことで、
傷は治り、
コラーゲンは産生され、
炎症は適切に収束します。
逆に、この情報伝達が乱れると、肌は徐々に回復力を失っていきます。
現在のSkin Longevityは、「特定の細胞を刺激する」という考え方ではなく、この細胞ネットワークをできるだけ健全に維持することを重視しています。
静かに進行する「炎症」が肌年齢を左右する
老化は年齢だけでは決まりません。
近年では、慢性的な微小炎症が肌老化を加速させることが明らかになっています。
紫外線や摩擦、乾燥などの刺激が積み重なることで、ごく弱い炎症が持続すると、
- 線維芽細胞の働きが鈍くなる
- コラーゲン分解酵素が増える
- 細胞外マトリックスが崩れる
- 修復能力が低下する
といった変化が起こります。
症状として現れた頃には、その変化は何年も前から始まっていた可能性があります。
だからこそ、「症状が出てから治療する」だけでは十分とは言えません。
これからは「治療前の肌環境」も重要になる
同じ治療でも結果に差が出る理由の一つは、施術前の肌状態です。
組織の回復力が保たれている肌では、炎症は速やかに収束し、修復もスムーズに進みます。
一方で、慢性的な炎症やバリア機能の低下が続いている肌では、回復に時間がかかることがあります。
美容医療では施術方法が注目されがちですが、治療を受ける土台となる肌環境を整えることも、結果を左右する重要な要素です。
LDM Tripleは「肌を整える」という発想の治療
LDM Tripleは、異なる周波数の超音波を高速で切り替えながら照射する医療機器です。
高い熱エネルギーで組織を収縮させる治療とは考え方が異なり、肌環境を整えながら組織本来の機能をサポートすることを目的としています。
海外では、
- 肌質改善
- 敏感肌のコンディショニング
- ダウンタイムケア
- 美容外科手術の術前・術後管理
など、幅広い場面で活用されています。
「劇的な変化」を目指す治療というより、「良い状態を維持するための医療」と理解するとイメージしやすいでしょう。
SAIGA CLINIC NAGOYAが目指す美容医療
当院では、一つの施術だけで老化を解決できるとは考えていません。
必要な場面では手術を行い、注入治療で形態を整え、エネルギーデバイスで組織へアプローチする。
そのうえで、肌そのものの状態を維持することも同じくらい重要だと考えています。
これは、「悪くなったら治療する」という発想ではなく、「悪くなりにくい状態を維持する」という考え方です。
私が以前から診療理念として掲げているスローエイジングも、このSkin Longevityと共通する部分があります。
目指しているのは、年齢に逆らうことではありません。
5年後、10年後も、その方らしい自然な肌を保てるようサポートすることです。
まとめ
美容医療の進歩によって、シワやたるみを改善する選択肢は確実に増えました。
しかし、これから重要になるのは「治療を受けること」だけではなく、「肌が健康な状態を維持できるか」という視点です。
線維芽細胞、dWAT、慢性炎症、細胞同士のネットワーク。
これらを総合的に考えるSkin Longevityは、今後の美容医療を支える重要な考え方になると考えています。
SAIGA CLINIC NAGOYAでは、目の前の悩みだけでなく、その先の肌まで見据えた診療を大切にしています。
名古屋・栄で肌管理やLDM Tripleをご検討の方は、「今を変える治療」と「未来を守る治療」の両方を組み合わせるという選択肢も知っていただければ幸いです。
当院の関連施術
執筆者
雜賀俊行(SAIGA TOSHIYUKI, M.D.)
SAIGA CLINIC NAGOYA 院長
美容外科専門医(JSAS)。
フェイスリフト、目元整形、小顔治療、脂肪吸引、若返り治療を専門とする美容外科医です。
心臓血管外科で外科医として研鑽を積み、解剖学と繊細な手術手技を基盤に美容外科へ転向しました。
これまで水の森美容クリニックやBIANCA CLINICで院長を歴任し、外科手術からヒアルロン酸・ボトックスなどの注入治療、高周波・RF機器を用いた美容皮膚科治療まで幅広く診療しています。
現在は名古屋・栄のSAIGA CLINIC NAGOYAで診療を行い、骨格や脂肪、皮膚、筋肉など顔全体のバランスを診断した上で、一人ひとりに合わせた美容医療を提供しています。
この記事は、日々の診療と実際の症例をもとに執筆しています。
専門分野
* フェイスリフト(クォンタムRF)
* 目元整形(裏ハムラ・表ハムラ・クマ取り・二重整形・眼瞼下垂・眉下切開)
* 小顔治療(脂肪吸引・クォンタムRF・糸リフト)
* 脂肪吸引
* 若返り治療
* ヒアルロン酸・ボトックス治療
* 美容皮膚科
略歴
2008年
東海高校卒業
2014年
愛知医科大学医学部 卒業
名古屋第一赤十字病院 初期臨床研修
2016年
名古屋第一赤十字病院 心臓血管外科
2018年
水の森美容外科 入職
2020年
水の森美容外科 東京新宿院 院長
2021年
水の森美容外科 東京銀座院 院長
2022年
BIANCA CLINIC 入職
2025年
BIANCA CLINIC 銀座院 院長
2026年4月
SAIGA CLINIC NAGOYA 開院
資格・所属学会
* 美容外科専門医(JSAS)
* 日本美容外科学会(JSAS)正会員
* 日本美容外科学会(JSAPS)準会員
* 日本美容内科学会 正会員
* 日本抗加齢医学会 正会員
* VASER Lipo 認定医
* 産業医
* Inmode社認定医(クォンタムRF、モフィウス8バースト)
執筆者|SAIGA CLINIC NAGOYA院長 雜賀俊行